迷鏡止水

勉邪眠の日々徒然。

entry_top_w.png
キャベフロSSもどきその1

「…無理ですね」
―え…

冷ややかな拒絶。その落ち着いた声も好きだ。
内容は、ボクの一世一代の告白への否定だけれども。

「…駄目、ですか」
「君ね、見ていたでしょう?私の本性を」
見ていた、卑怯としか言いようのない方法を、
ばれなければ美しいままの貴方を保てるあの試合を。
「信頼していた人間すら、平気で裏切るような卑怯者です」
信頼―それは違う。ボクのことであれば、崇拝に近かった。
正義の為に己を擲(なげう)つあの背中。―と、揺れる尻尾。
今ならわかる、戦場で貴方の姿が視界に入るたび胸が高鳴った理由が。
「罪悪感?全く」
ここまでくると逆に清々しいではないか。
ボクを傷つけたと知りつつ、さらに深く抉る。
「だから私は君に相応しくありません」
ボクをこれ以上傷つけないように。

黙って俯くボクに、沈黙を打ち消すように軽いため息をつく。
「諦めてください… さ、もういいですか?
 銀河王は私の行いを黙認するような体ですけれど
 変な詮索が入らないうちに、私は戻ります。“元の場所”にね。
 …ああ、君の気分を害してしまったわけだし、
 ばらしてしまっても構いませんよ、私の本性。
 もっとも、私のネームバリューから言って、証拠なしに
 私の地位を落とすのは容易じゃないでしょうけれど」
「そんなことはしません」
「そうですか。まあそうしてくれたほうが有難いですが」
「ばらすほうでなく、諦めること、をしません」
「え?」
「貴方の強さも、美しさも、優雅な尻尾も、そしてそのしたたかさも
 もう好きになってしまったんだから、どうしようもないです。
 貴方の本性を知った今でさえ、高鳴ってる胸をボクは信じたい」
「…はぁ?」
「もう一度言います、好きです、フロストさん。付き合ってください」

「…君って、思ってたより変な人ですね」
「サイヤ人はね、結構一途なんですよ」
「そうでなきゃ、ただのマゾヒストです」
口元を抑え、呆れたようにくっくっと笑う。
冷笑に近いのに、その仕種さえ扇情的で、艶やかな唇から目が離せないんだ。
自分でもどうかしてると思う。でも、得てして恋とはそういうものだ。

「…ま、いいでしょう、付き合ってあげても」
「え!?本当ですか?」
「でもこれはサービス期間です。気に食わないことがあったら
 遠慮なく…躊躇なく…えげつなく…捨てますからね」
「あはっ、頑張ります!有難うございます!」
「全く…犬っころみたい」
柔らかく笑う。ああ、こんな笑い方もできるんだ…この顔も好き。


もっと見ていたいです。そばにいさせてください。
entry_bottom_w.png
<< SBM ~F-SIDE~   HOME   43 >>
[3161]  [3160]  [3159]  [3158]  [3157]  [3156]  [3155]  [3154]  [3153]  [3152]  [3151
plugin_top_w.png
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
「てをつなごう だいさくせん」
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
勉邪眠
性別:
非公開
自己紹介:
可愛いものと甘いものと猫と
オパーイと筋肉に目がない腐人間。
日々、萌えに飢えている。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
カウンター
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
アーカイブ
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
~~□D_(´ω`*)
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
アクセス解析
plugin_bottom_w.png
Copyright 迷鏡止水 by 勉邪眠 All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ