♪らん、らん、らん。

きょうはあさからあめ。
こないだかってもらった、あたらしいかさをもって
おうちのうらのやまへたんけんにいきました。

いつものもりが、いつものもりじゃないみたい。
しとしと、ぱらぱら、むわむわ、ふんわり。
いろんなおとと、いろんなかおりで、わくわくしてきます。

もりをぬけると、めのまえに
たくさんのあじさいがさきほこっていました。
みずいろ、きみどり、ピンクに、むらさきいろ。
あめがぱたぱたおちては、どのおはなもきもちよさそう。

だれかいるようなきがしてふりむくと、
あじさいのはっぱのうえに、はっぱよりちいさなちいさな
みどりいろのこどもがいるではありませんか！

でもぼくはなんだかびっくりできなかったのです。
“あじさいにはね、ようせいがいるんだよ”
“であえたらしあわせになれるから、やさしくしてあげようね”
おとなりのおじいちゃんから、そうきいていたのと
そのようせいのおどろきがおが、とてもかわいかったからです。

「こんにちは、あじさいのようせいさん。
　きょうはいいてんき、じゃなくていいあめですね」
おどろかせないよう、ゆっくりしゃべったけど、だいじょうぶかな？

ちかづくとはっぱにかくれてしまったけれど、
あんしんしてくれたのか

「おれも、あめ、すきだ」

そういうとおはなのむこうに行ってしまいました。
あじさいいろのようにあわくわらって。

「またくるね」
こんどはきれいなおみずをもってくるからね。

あたらしいかさよりも、ずっとずっと
あめのひがたのしみになりそうだな。
なんだかどきどきのまま、ぼくはうたいながら
もとのもりをかえっていきました。